今は学校やスイミングスクールの充実もあって、「泳げる」と思っている人も少なからず多いと思う。実際の話として言えば「特殊な環境下で、準備を施したうえであれば泳ぐことが可能である」と考えた方がよい。 理由としては、いくつかのことが上げられる。
1.着衣状態
水難事故では、海水浴は別として、着衣状態での落水と言うケースが多い。着衣での落水時には体の自由がかなり拘束される。 プールの時のように体を動かすことは困難である。
2.水中状況が違うこと
プールは、言わば「究極の静水状態」と言ってもよい。ところがどんなに条件が良いところであっても、海、川は水流が複雑に交雑しており水面に浮上することが困難なケースも多い。 また、水底も平らではなく深さも複雑に変化しており、次の一歩で深みにはまる、なんてことは当たり前のこと。足が付くからと安心はできない。
また、水面に運よく出れたとしても、波、障害物、浮遊物があり水面にとどまることが難しい。
これらの理由から、プール以外のところでの落水時の危険性は大変大きいのだ。 プールで泳げる人が自然環境での水で泳げるのはかなり限られた環境であり、プールとは比べ物にならない体力と経験がなければ泳げない。
だからこそ、マリンスポーツではライフジャケットが着用義務となっているケースは多い。
実際、水泳部であり小中時代には毎日キロ単位で泳いでいたふぇりっくすでさえ、タヒチのリーフ内部でウォーターシューズ、Tシャツと海パン状態でシュノーケリングするのには、かなり神経質になったのである。
いわんや、激流下りで事故ればどうなるかは想像にやさしい。