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日本美術
駅でこんなポスターを見つけました。
この浮世絵セットは、自分の人生ではかなり大きな影響を与えた作品である。 そもそも、幼いころから新幹線、在来線で東海道をそれこそ数えきれないほど往復してきた。 大学生の頃、この浮世絵を見て、東海道って自分では単なる通過するルートに過ぎなかった。 この作品に触れて、今の東海道はどうなっているんだろう、昔の街道風情が残っているところはあるだろうか、との思いを強くした。
で、大学4年の秋、大阪の国道一号線の出発基準点から東京日本橋の道路元標を目指して110ccの原付2種で宿場を辿った。 バイパス化された道は避け、旧道を出来るだけ選んで走った。
なにせ原付。ナンバーは吹田。滋賀に入る頃には珍しいので、スタンドでの給油、路端での休憩中に通りがかりの地元の人によく声をかけられた。 難所はやはり峠で、土山>関は「坂は照る照る鈴鹿は曇る、あいの土山雨が降る」がそのまんま。 前輪が巻き上げる水をキャブが吸い込み何回もエンストした。
関、蒲原付近などはかなり今でも風情がある。 愛知県内で道を訊いたら、土地の古老に「この辺は立派な松並木だったが伊勢湾台風でやられてしまってね」とか、丸子の丁子屋さんでは、ずぶぬれ合羽姿でも暖かく受け入れていただいてトロロ汁を堪能したりした。 最大の難所は箱根の峠で、ホントの旧道は歩くしかない地区もある(石畳でオフロード原付でも無理)。
日本橋(当時は汚かった)の道路元標見たときには感動しました。 やり遂げ感、というより、先達の偉大さに感動して。
結構、場所によっては広重の絵と同じパースが残っていたりして有意義だったですなあ。
でもこの時、2泊3日かかったわけですが、人って屋根がないところで生きていける、いわゆるノマド(遊牧民)思考が染みてしまったわけで、放浪する快感も知ってしまったわけです。
いわば人生の転換点ともなった作品群です、これらの浮世絵は。
因みに展示される作品は、保栄堂版なので、ファーストロット、保存状態が良いもの、と推察されます。