以前、ルガーP-08という拳銃のことを書いた。 これは機械的には独創的なのだが、シンプルではない。 機械好きには凝ったメカニズムというものは心引かれるものがあるが実際に使えたか気になることはあるのだ。?
P-08で引き金を引くと、引き金>シアレバーA>シアレバーB>シアレバーC>シアと動きが伝わっていき、シアが開放されてハンマーがリリース、激発する。 因みにシアレバーBとCはスライドにあり、シアレバーAとシアはレシーバー側にあるので、わざわざ稼動部分を使って引き金の動きを伝達している。?
同時代の拳銃でコルトM1911というモデルでは、引き金はシアレバーに直付けされており、引き金+シアレバー>シアの順番でハンマーがリリースされる。 スライドには撃針とエキストラクターのみ。引き金の動きは関係しない。?
同じ設計者(ジョン・ブローニング)によるハイパワーと言う拳銃は引き金>シアレバーA>シアの順番でハンマーがリリースされる。シアレバーはスライドにあり、やはりわざわざ稼動部分を使って引き金の動きを伝達している。?
機械の故障率は構成するパーツが多くなるほど高くなるから、ルガーP-08はある意味失敗作ともいえるのである。?
しかも、発射の衝撃をトグルジョイント言う尺取虫みたいな機構で吸収し、排莢、次弾装填を行う。 これ以外の拳銃ではスライドの前後運動のみで排莢、次弾装填を行うから、シンプルである。 優れた機能は簡単な仕掛けに宿る、というのが機械工学では定説ではないかと思うのだ。 ?
他にも大砲の尾栓には螺旋式(捩じ込み型)と閉鎖式(スライド型)がある。 発射ガスを密閉すると言う意味では螺旋式が優れているのだが、単位時間当たりの発射数は閉鎖式が勝るのである。 このように機械の世界は効率のどこを重視するかで作りも変わってくる。 これが機械の面白さではないかと思う。