クルマの本質はなんだろう? 快適に移動できること? 天候に影響されないこと? ヒトや荷物がたくさん載ること? 「走る、曲がる、止まる」ではないかと思うのだ? その観点から行くと、セブンの回帰は正しい方向性だと思うのだ。
天候に影響されず、ヒトや荷物がたくさん載って快適なドライブが可能なクルマはたくさんある。しかし、それらを全て投げ出して「走る、曲がる、止まる」を実現しているから市場は受け入れつづけているのだと思う。 これはBRZやZ4が受け入れられていることとは無縁ではないと思う。
多少似た傾向がスモールカーでも起きてはいるが大きなムーヴメントではない。 しかし、セカンドカーとしてこのような原点回帰が理解されるところに意味があると思うのだ。
軽自動車規格のスーパーセブン発売 魅力は「原点回帰」
THE PAGE 2月9日(日)18時14分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140209-00000009-wordleaf-ind&p=1
「走り出した途端、感じるのは驚異的な軽さです。スーパーセブンと言えばスポーツカーの中でも異例に軽いのが特徴でしたが、従来モデルと比べても差は歴然。身ごなしの全てがとにかく違います」そう語るのは、先行試作車のステアリングを握ったとあるディーラーの関係者だ。
イギリスのスポーツカー「スーパーセブン」が、スズキのターボ・エンジンを積み、軽自動車規格で今春、日本に上陸する。販売側の立場で数多くのスーパーセブンに乗り、経験と技術に裏打ちされた専門家が舌を巻くほどの圧倒的な軽さが備わっている。その車重は490キログラム。街を走る普通の軽自動車の重量が800キログラム程度だからおよそ4割軽いことになる。
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スズキのターボ・エンジンを搭載
本国のイギリスでは、このスズキ製660ccターボ・エンジンを搭載したモデルは80psだが、日本仕様は制御プログラムによって、軽自動車の自主規制に合わせた64psに抑えられ、併せて外装パーツを一部変更して横幅規制1.48メートルに収め、軽自動車登録で販売される。
このケータハム「スーパーセブン130」(本国版は160)が発表されたのは昨年10月のことだ。12月1日から予約受付が始まり、同月12日から始まった名古屋自動車ショーで実車が展示された。軽自動車としては破格の349万6500円という価格にも関わらず、正規輸入元によれば受注開始から1カ月あまりの間にすでに30台を超えるオーダーが入っている。従来全モデルを合計した国内年間販売台数が50台前後であったことから考えれば異例の売れ行きだ。デリバリーも間もなく始まる。
セブン130が何故それだけの注目を集めているのか? 少なくとも「何か軽自動車を」という中で選ばれたとは考えにくい。前出の関係者の証言によれば、限界こそ高くないものの、細いタイヤによって実現されるすっきり軽快でシャープなハンドリングもこれまでのスーパーセブンにない魅力で、運転を楽しむスポーツカーとして高い資質を備えているという。
「重量増加」の歴史を転換
スーパーセブンはオリジナルモデルが1957年にデビューし、以来時代に応じた高出力エンジンにアップデートしながら60年近くも生きながらえて来た数奇なクルマだ。それは同時に「パワーアップ→補強=重量増加」の歴史でもある。今回スズキから単体重量約70キログラムの軽量で手ごろな出力のエンジンを入手したことで、高価な部品に頼ることなく各部を軽量化することができた。いわば原点回帰的商品である。前述の証言と照らし合わればそれがスポーツカーとしての新たな付加価値になっていることが大いに考えられる。
「不特定多数に訴求する安価な道具」という枠組みには絶対に入らないスーパーセブン130の好感触を見ていると、オンリーワン商品の典型に思える。積み上げ型ではなく、引き算による原点回帰が商品の魅力を引き立たせてるという意味でそれは多くの示唆に満ちているように思う。
(池田直渡/モータージャーナル)