小野次郎さんの店の哲学を理解しないで店に行き、批判するお客には問題があるのだ。 オバマ大統領や安倍首相が行くから名店なのか、と同じレベルの話である。
所詮、食い物は多かれ少なかれ嗜好品である。自分の基準が正しい、のではない。自分の基準と店の基準があえば「名店」なのである。 ミシュランやグルナビの評価が高いから名店ではない。 第三者の評価を判断基準にしている人も多くて困ったものだが、一般的にこのことが理解されていない。
小野次郎氏は過去に自分の職業人としての哲学を語っており、書籍になっている。それを読めば理解できるはずである。 「すきや橋 次郎」は万人受けすることを狙って店を構えているわけではない。店が儲けることが第一の目的ではないのである。 ずばり、「次郎さんが仕込まれてきた寿司哲学を体現化している」店である。 言い換えれば、「ウチの店のやり口が気に入らないなら二度と来るな。こっちの流儀は変えない」と公言しているのである。 次郎さんいわく、
1.すし屋は店主と客のコミニュケーションの場である
2.まずはテーブルでランチを食って店の確認し、続けてくるか考えろ!
3.すし屋の仕来たりを知らないでくるな
4.お得意を手厚くもてなすのが店の礼儀。次に来るか来ないかわからない一見にはそれなりの対応は当たり前
と言うことが基本なのだ。 つまり、日本古来のすし屋なのである。 ある意味絶滅危惧種のすし屋なんである。
流儀は変えないが、状況の変化には柔軟に対応しているのが小野次郎氏のすごいところで、冷凍のいくらを使った軍艦巻きの研究や、冷凍マグロの味の追求プロセス、こはだの仕込みのやり方など、それはすごいシビアな追求をしているが、その多くの手順が書籍で公開されている。 つまり、テクニックはいくら公開しても真似されない高度なノウハウが蓄積されているのだ。 それが「すきや橋 次郎」を名店とさせている、と考える。
だいたい、「すしを箸で食う」なんて野暮もいいところ。すしはもともと小腹満たしのスナックから派生しているファーストフードなのだ。そいつを箸につまんでしょうゆに漬け込めはシャリはぼろぼろと崩れて落ちるだろう。 それくらいふんわりとシャリを握らないと寿司の旨みはない。箸で食いたければ、ガリを刷毛にしてネタに醤油をつけるのが当たり前。 本来はちょいと手に取り、ネタに醤油をちょいとつけ、口に運ぶものだ。こんな成金野暮天バカの評価を真に受けて掲載した毎日新聞の担当者も判っていない。 おそらく創作記事だろう。 記事は書くものであって創作するものではない。
因みにふぇりっくすは、「すきや橋 次郎」のランチには数回挑戦しているが、カウンターでお好みを食うまでのレベルには達していない。
カウンターで食うにはカウンターの職人さんとコミニュケーションが取れなければならないからである。 これがすし屋の醍醐味であろうと思う。
「ミシュラン3つ星」の評価もさまざま?
J-CASTニュース2007年11月20日19時52分
http://news.livedoor.com/article/detail/3397076/
世界的に有名なレストランの格付け本「ミシュランガイド」の東京版の内容が発表された。最高評価にあたる「3つ星」が、寿司屋2店を含む計8店に与えられ、編集責任者は「東京は世界に燦然(さんぜん)と輝く美食の都」とたたえたが、国内の「口コミサイト」を見ると、その「3つ星」の店でも評価が割れているようなのだ。
箸でつまむとご飯がぽろぽろ落ちていく!
2007年11月19日、同書の概要が発表され、「3つ星」の他にも「2つ星」25店、「1つ星」117店の、計150店に星が与えられた。都市別では世界最多の認定数だという。さらに、東京の3つ星8店はパリの10店に次いで多く、今回の8店を加えても、3つ星レストランは世界中で68しかない。
翌11月20日の朝刊各紙のほとんどが、このニュースを1面で写真入りで取り上げ、特に毎日新聞は、3つ星を獲得した寿司屋「すきや橋 次郎」の店主・小野二郎さん(82)の経歴を社会面トップ項目で取り上げており、同店のことを「世界の3つ星店では例のない地下の店で、メニューもなくカードも使えず、トイレも他店と共同という異例づくし」などと紹介している。
こう見ていくと、「星」の認定をされた店は、利用者からも好意的な評価を受けていそうなものだが、実態は、かならずしもそうでない可能性がありそうなのだ。
接待される側として何度も訪れ、最近自費でも食事をした会社役員は、「ここが天下の名店とはとても思えないほどのレベルだ」と言い切る。
まず、肝心の寿司。
「実際に寿司を握っているのは、ご主人の二郎さんではなく、息子さんであることがほとんど。箸でつまむとご飯がぽろぽろ落ちていくのには驚いた」
しかも、この異常事態をアピールしても、従業員も含め誰一人として気にもとめないという。
「派手な芸能人らしき客とカウンター越しに大声でしゃべりっぱなし。寿司屋として最低だ」と罵る。
「常連には優しく、一見客には冷たい」
「すきや橋 次郎」を飲食店の口コミサイト「Yahoo!グルメ」で見ると、現在44件書き込まれている評価の平均は、5点満点中3.09点。必ずしも「優等生」ではない印象を与える数値だ。コメントの内容を見てみると、
「一生に一度は行ってほしいとお勧めしたいお店」
「握りの評価を中心に考えると最高ランクと考えざるを得ません」
と、絶賛する声もある一方、
「食べる前からマインドコントロールされているためか、これが日本一の寿司だと確信している客が多い店」
「常連には優しく、一見客には冷たい・・・そんな印象でした。あの値段であの態度とは、ある意味驚愕に値します」などという悪評も少なくない。ちなみに、「すきや橋 次郎」は一人当たりコースで2万数千円から。まあ3−5万円といったところだ。「3つ星レストラン」の他の7店を見ても、その評価は3.75から5.00と、さまざまだ。
もっとも、5点満点の評価が付いた2店については、それぞれコメントが1件しか付いておらず、口コミサイトの利用者は、必ずしもミシュランに掲載されるような「超高級店」に出かける機会が多くない、という可能性はありそうだ。
今回のミシュランの格付けだが、日本人2人とヨーロッパ人3人の「覆面調査員」が1500店を1年半かけて調査した結果なのだという。一般紙以外のメディアでは、例えば日刊ゲンダイが「『和食が分かっていない!』とブーイング」という見出しを立てるなど、懐疑的な声も多い。さらに言えば、「寿司は、やはり日本人が評価すべき」との声も上がりそうだ。
ただ、同書の広報事務局によると、特に「日本人は日本食を評価する」といった役割分担はないといい「調査員は、一貫した価値観・スタンダードを持っており、(調査員が)日本人かヨーロッパ人かどうかで判断が変わることはありません。」と話している。